MBA留学を決意するというのは、私にとって非常に大きな決断だった。
そのきっかけは、入社2年目のある秋の日に遡る。
夜7時、仕事を終えていつものように帰宅する電車に乗っていたとき、突然、肺のあたりに鋭い痛みが走った。息をするたびに胸が強く締めつけられ、途中下車しようか、本気で誰かに助けを求めようかと考えたほどだ。
しかし、慣れた帰路を変えることに不安もあり、そのまま電車を降りずに目的地まで乗り切った。
原因は、寒さ、運動不足、そして重い荷物を肩にかけ続けたことによる筋肉痛だったようだ。
これまで一度も痛くなったことのない場所だっただけに、その衝撃は大きかった。
そして、不思議なことに、痛みの中でふと頭に浮かんだのは――
「自分はまだ、やり残したことがある」という思いだった。
その一つが、長期留学だった。
人生には、直感に背中を押される瞬間がある。
あの痛みは、もしかすると身体が教えてくれたサインだったのかもしれない。
だから私は、自分の本音に向き合い、留学に挑戦することを決めた。